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2/09/2012

Time is running out.

OK、田中防衛大臣はどうしようもない素人だ、野田首相は人事が下手すぎる。やるといってきたことをやらずに消費税増税に突き進むのは大胆、勇敢、そして愚かだ。普天間基地は固定化の懸念が出ている。長期的なエネルギー政策、エネルギー安全保障の展望も曖昧だ。

これらほとんどの領域における政権への批判はもっともだし、仮にポイントがずれていたとしても敢えて擁護する気にもなれない。で、谷垣禎一と彼の率いる政党はどういうオルタナティブ、代わりとなる魅力的な未来図を提示してくれるのか。

支持が伸びない、低迷しているのもリーダーシップの基盤が弱いのも首相と野党第一党党首の共通点だ。そして先週金曜夜のニュース番組出演時の谷垣の発言では、現在国民の多くの関心事であり不人気な政策である消費税増税を巡って政府と方向性の大きな違いはないらしい。

それはそうだ、谷垣は早くから(ポスト小泉のときから)増税と財政再建の必要性を唱えてきた。政策において相違ない、対立軸を曖昧にした一方で解散に追い込むと対決姿勢を顕にする。それでいて話し合いにも含みをもたせるという、実に彼らしい頼りなさを見せた。

多くの人間は谷垣を次の首相たる政治家と見なしていない。また消費税を巡る姿勢は拙い。最大の争点と目される消費税で野田を上手く批判できなくする。これは05年の英総選挙と重なる。

当時イラク戦争がブレア首相の傷であったが、保守党もまた派兵に賛成したために付け入ることができず、第三勢力でイラク戦争に反対した英自由民主党に票が流れることとなった。おそらく日本でも民主党政権への不満票・批判票は第三勢力が流れるだろう。

しかしもっと重大なのは谷垣個人の指導力と決断力の不足ではなく、党全体のポジショニングだ。改革の旗印は橋下率いる維新の会らに先んじられ、また保守右派、民族派の陣地は石原・平沼のナショナリスト色の強い新党に掘り崩される。そう、民主党同様に自民党も迷走し立ち位置が定まっていない。

05年の郵政選挙、09年の政権交代、そして近頃の橋下への期待の高まりと、人々は一貫して「変化」を求めている。そのニーズを掴み、そして彼らを惹きつけるビジョンを、政治哲学や理念と呼ばれるものを築き直すことが肝要だ。谷垣は自民党の考えが伝わっていないことをインタビュアーに指摘されて「広報活動を見直す」と言ったが、根はもっと深い。多くの忠実な支持者は先の総選挙敗北後の谷垣の努力を指摘するだろう、しかし結果が出せなければ徒労に終わる。

保守党を再ブランディングし13年ぶりに連立という不本意な形ながら政権復帰に導いたキャメロンのスピーチの一部を紹介しよう。

'We don't just need new policies or presentation or organisation, or even having a young, passionate energetic leader(...) We have to change and modernise our culture and attiutdes and identity'

早ければ今年の夏には総選挙と言われているし、そうでなくても9月に任期が切れて総裁選が待ってる。谷垣禎一は残された僅かな時間で道を切り拓かなかればならない。

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