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4/17/2013

「秘密保全法」について思うこと

日々取り上げられる政治課題がいくつもある中で、秘密保全法案の話題は決して大きなものでない。

16日の衆議院予算委員会で安倍首相が言及したが、海外で自衛隊が邦人を輸送できるようにする自衛隊法改正のほうによりスポットが当たっていたように見受けられる。

よく日本はスパイ天国と言われるが、情報漏えいを罰せるのが国家公務員法で、懲役1年は軽すぎる。

2010年に警視庁の国際テロ捜査に関する資料が流出する事件があったが、このような事態を未然に防ぐ、あるいは発覚時に対処して情報保全を適切に行なっていく上で、法制度の整備は不可欠だ。加えて、今年1月にアルジェリアで邦人も巻き込まれ犠牲になった襲撃事件があったばかりだが、このような緊急事態に各国の情報機関と連携協力していく上で、情報保全体制に穴があっては齟齬が生じよう。

さて、ここで問題となるのがこれまで議論されてきたように「秘密」の範囲だ。国民の「自由」や「権利」を制限することをやむ無しとすることは正統化できるのは、一つは「安全保障」マタ‐だ。

前述のアルジェリア・イナメナスのような事件は滅多に発生するものではないが、だからと言って情報面で万全の備えができていないがために「予防」も「対処」も不十分となれば、人命が失われる。

ここで、例えば日弁連の「発覚後に再発防止策をとっているから」不要という論は、最初から予防を考えておらず、危機管理意識の欠如が指摘される。また、法整備を疎かにしての再発防止策には限界があろう。超法規的に内々に情報漏えい者・内通者を処分するのも一つの案だが、法の支配を重んじる国のすることではない。

「外交」もすぐに公開されるべき類ではない内容が含まれている。現在進行形のTPPがいい例だが、交渉参加国は保秘をしっかり行なっている。それは各国が国益を守るためでもあるし、信頼なくして交渉事を進めることはできないからだ。

特にこの二つの領域において憲法で保障されたものより優先されるものがある、というのは他の自由民主主義国においても、戦時・有事にあっては標準的である。

と同時に、「国益」や「公共の利益」の名の下にバランスが損なわれることがないよう、一定期間を経ての情報公開の枠組みや公文書保存のルール、立法府の監視など併せて制度に盛り込む事項があると考える。

国家が存続して主権を行使できなければ憲法も、そこに書かれた自由や権利も脅かされる。一方で国家は目的ではなく、守りたい価値を守るための手段・道具だ。その点は安全保障を重視する上でも失念してはいけないだろう。


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