この1週間弱というもの、ロシアがウクライナに侵攻するのではないかとの見方が各所から示されています。(参考:露軍事専門家・小泉悠氏解説)
15日には英Guardian紙はロシアの装甲兵員輸送車23台と補給用のトラックなどの車列がウクライナ領に侵入したと報じました。その後、ウクライナ側からロシアのコンボイを破壊した旨発表されており、ロシア側はこれを否定しました。
これまでのところ「ロシアは本格的な軍事侵攻に踏み切らないだろう」という見方をしてきたのですが、一段と緊張が高まっている今も基本的なラインは変えなくてよいのかなと考えています
ウクライナ東部においてキエフのポロシェンコ政権の統治を否定する武装勢力を支援して不安定化を図る、当初の政策は継続するでしょうが、口実を設けて(人道支援?)大部隊を越境させて云々する可能性は低いと見積もります。
個人的にはロシア側に現時点で軍事侵攻の意図はなく、欧米発の侵攻懸念は情報戦や心理戦の一環なのかなと見てます。根拠は特にないですが。より効果的な作戦を遂行するにはいいタイミングではないのは確かでしょう。
検討すべき要素、リスク因子は多々ありますが、欧米筋から牽制球が投げられている状況で、クリミア併合までのようにスムーズな作戦を展開することは難しいのではないかと見ます。
裏をかいて出し抜くことができなければ、望ましい成功を得るのは難しくなります。
そして、「なぜ今やるのか?」という点でもっともらしいものが無いかなと。不安定化への関与から自ら軍事行動を起こすのはプランにあるにしても、ギアを上げるポイントがここである理由が特にないのではないでしょうか。リスクもコストもかかる介入作戦へ、それは政策の継続でなく一つの旋回(pivot)となる以上、そこには相当な根拠と支柱が要ると見ます。
ロシアにとって、プーチン大統領とクレムリンの面々にとって、主体的に大きなピボットを行うのは、ワシントンの政策立案者が考えているよりははるかに難しいものと見ます。
思えば連合協定潰しにしてもクリミア併合にしても、ロシアは受け手に回っていました。決して場当たり的やその場しのぎとは評価しませんが、必ずしも有利に、上策を打ってきたとは言えないのが実情でしょう。
ここに来てロシアが仕掛ける、というのは一貫していないし合理的でないし、警戒する西側が情報戦で一手封じにかかったというのが個人的見解です。
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