今巷で話題のALSアイス・バケツ・チャレンジですが、次に3人に繋いでいくというので「Pay It Forward」を思い出しました。いい映画です。泣けます。ハーレイ君が成長する前です。
ALSという難病に対する認知度を高め、かつ寄付を募って研究等を支援するという善行、善意のアクションです。とても素晴らしいと思います。
ですが、個人的にはかなりscepticalにならざるを得ません。アイス・バケツ・チャレンジ以前から、この手のキャンペーンについて疑問を持ってきました。前々から「KONYはどこに消えた?」と問い詰めたいし、ミシェル・オバマの#bringbackourgirlsにイラッとしてきました。
上に挙げた過去の事例でお気づきになられた方はいるでしょうか?
いずれも一過性のキャンペーン、アクションがPRとしては成功したかもしれないけれどもプロジェクトとしてアチーブメントを得られなかったものです。
瞬間最大風速、一瞬の話題性はあるものの、運動として強度・熱量を固定して持続できず、流行が過ぎればそれで終いとなったものです。
先ほど「PRとしては成功」としましたが、啓発という点で考えても、人々に課題・問題を深く理解させることに成功したかは疑問が残ります。ホワイトバンドを「あー、ヒデがやっていたな」ということを思い出せても、何を目的としたキャンペーンだったか思い出せる人間がどれだけいるでしょう?
ビル・ゲイツ、ザッカーバーグ、スピルバーグ、いわゆるグローバル・エリートやセレブリティがWAになって氷水被ることで注目とお金は集まっているけど、ニュースとして消費されてそれで終わりになることを強く危惧する次第です。
次に、数多ある難病や問題の中でただ一つALSが取り上げられて、患者さんとそのご家族、治療法を探す研究者は支援を受けられて救われるかもしれないけど、その他は?
ちょうど今借りて読んでるPlutocrats: The Rise of the New Global Super-Rich and the Fall of Everyone Elseの邦訳から次の部分をご紹介します。
「慈善資本家が及ぼす力は大きく、一国の社会的セーフティネットを意図せず変えることすらある。アフリカの一部の国では苦情が出ている。現地の医師や看護師が、ゲイツの潤沢な資金をもって進められてるエイズ治療薬、結核ワクチン、マラリアワクチンの無料配布プログラムに気を取られ、地味ではあるが、人びとが心から必要とする日常の医療行為をおろそかにしているという」(p120)ALSアイス・バケツ・キャンペーンはjustでrightだけど、unfair。例えば新井克弥氏の「とりあえず全員がトクする」という見方は、距離を置いて外から見ると必ずしもそうだとは言えないところがあるのではないでしょうか。
繰り返しますが参加者はお金も影響力もある方々です。それがみな一つの方向へ進み、一つの病気をフォーカスしたときの勢いや既に我々が目の当りにしている通りです。それだけに注目やリソースが相当偏ってしまうことを懸念するのです。
このキャンペーンの目的や動機は断じて否定されるべきものではないのですが、それゆえに悩ましいと思います。
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