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4/19/2013

チョーク・ポイントを狙え

USS Freedomがシンガポールに到着した。

米国が沿海戦闘艦(LCS)をシンガポールに配備するというのは新しい話ではない。両国は計4隻のLCSをシンガポールにローテーションで配備することに合意している。

緊張が高まっているらしい朝鮮半島からやや離れた地で、米国のアジアへのpivot、あるいはリバランシングと呼ばれる戦略が動いている。

先日公表されたSIPRI、ストックホルム国際平和研究所の報告書によれば、米国の世界の軍事費に占める割合は39%と4割を切っているが、2位の中国(9.5%)以下10位ぐらいまでの国を合わせたよりも多額を支出している。

(ちなみに欧米が財政難などから軍事費を削減したこともあり、最新の世界の軍事費は10数年ぶりに減少した)

米海軍のプレゼンス強化は、グローバル経済の大動脈とも言えるシーレーンの安定と、それから地域の安定に資することを目的としている。

このような動きを面白く思わないのは中国だ。最新の国防白書では同盟国や友好国との関係を強化する米国を地域を不安定化させると牽制している。

国際エネルギー機関(IEA)の過去の報告によれば、2030年に中国は全世界のエネルギー消費量の4分の1を占めると予測され、原油消費量だか輸入量だかも2005年の4倍になると見られている。

その石油はどこから来るか? 陸上にパイプラインを建設するとしても、依然として多くは海を通って運ばれることになろう。常に中国は古くて新しいマラッカ・ジレンマに直面することになっている。

この地政学で言われるところのチョーク・ポイントに手をかけられるポジションを米国は確保している。

そしてこの中国の海洋戦略上のネックは、国防費の削減を迫られ、負担の軽減とリスクヘッジを東アジアのリムランドで必要とする米国に幾分楽でかつ堅実なオプションを与えることになる。

豪ダーウィンの海兵隊駐留、シンガポールのLCS配備、これらは西太平洋からインド洋という21世紀のグローバル経済、そして米国経済にとって多くの機会を与える海域に睨みをきかせている。

LCSの話に戻ると、この艦は浅い海の多い東南アジア海域に向いている上、100人足らずの少ない人数で動かせるのでコストを抑えられる。

今後10か月にわたって東南アジアで米海軍のプレゼンスを固めるとともに、この地域の諸国との演習に参加することになる。

米軍のこの地域の安全保障にコミットする確固たる意志を、多くの地域諸国は歓迎するだろう。

米中衝突を望むものはいないが、米国が存在し中国が軍事的冒険主義に走る可能性を低減してくれることは、グローバル経済の重心が移りつつあるこの地域にとって大いにプラスとなる。

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