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4/30/2011

日(米)豪「同盟」?~傾向と障壁

オーストラリアの安全保障

1.アングロサクソンのspecial relationship
昔:大英帝国(※当時の潜在脅威は大日本帝国)→今:米国
but...両者とも豪本土から離れている→自立した国防政策((self-reliance)の追求。(White, 2009) 


・1971年 英豪NZ+シンガポール&マレーシア五ヶ国条約(Five-Power

Pact)

・1951年 オーストラリア、ニュージーランド、米相互安全保障条約」Security Treaty between Australia, New Zealand and the United States of America: 通称「ANZUS 条約」・・・核の傘、インテリジェンス

米豪関係については近年・・・

2005 年の米豪閣僚協議で「米豪統合共同訓練センター」(Australia-US Joint Combined Training Centre: JCTC)の創設に関する覚書(MOU)人道支援や災害救助などの国際平和活動協力のあり方を追求する「拡大地域平和活動機能」(Enhancing Regional Peace Operations Capability) 米空軍のB-52、B-1、B-2 といった戦略爆撃機による訓練をノーザン・テリトリーの訓練地域で実施するという「戦略爆撃機訓練計画」の3 点で合意した23。軍事技術・装備関連の貿易の分野においても、近年、米豪同盟関係には著しい進展が見 られる。米豪両政府は2007 年9 月、「国防関連貿易協力に関する条約」(U.S.-Australia Treaty on Defence Trade Cooperation)に調印」(片原、2009年、p53)


と後述するように対米協調を軸とするハワード政権下で安全保障面での関係進展が見られた。
同じく後述するように、この米豪関係の緊密さが日本の政策当局の豪州接近の一因と言える。

2.政党と基本対外政策(ミドルパワー外交)

自由党(ハワード政権):主に米国との二国間関係を重視。
ex.)ポスト911、1952年以来のANZUS条約発動によるアフガンおよびイラクにおける対米協力
     2003 年12 月米国のミサイル防衛計画への参加を表明 (片原、2009)


「対テロ軍事作戦に、陸海空軍の兵士1,550 人の派遣に加え、特殊部隊(SAS)150 人
と空中給油機2 機の派遣を発表した。その後、P-3C 哨戒機3 機、F/A-18 戦闘攻撃機4 機、
司令艦1隻、誘導ミサイルを含むフリゲート艦2 隻、揚陸艦1隻の派遣を順次決定し、対
米軍事支援を深化させた。米国のイラク戦争に対しても、ハワード政権はブッシュ政権に
強い支持を表明し、特殊部隊150 人を含む約2,000 人の実戦部隊を派遣した」(p47)


労働党(ラッド→ギラード政権):アジア太平洋コミュニティ等の多国間志向。
ex) ロバート・ホーク(Robert Hawke)、ポール・キーティング(Paul Keating)政権下でのアジア太平洋経済協力(APEC)を積極的推進。ケビン・ラッド前首相、現外相の対中友好的スタンス?



3.国防政策
Defending Australia in the Asia Pacific Century: Force 2030, released in May 2009
主たる役割:従来型の敵正規軍との戦闘+国際平和維持活動、安定化任務。

・直接的な脅威の不在、しかしガバナンスの不安定な近隣小国に囲まれている(an arc of weak states)
→東ティモール、パプアニューギニア、ソロモンへの多国籍軍としての派兵介入

・近年は中国の台頭がアジアの戦略秩序に及ぼす影響、ならびに米国の優位の挑戦を注視。

防衛費と装備調達:
ハワード政権下2007年の白書では2016年までに実質GDP比3%まで引き上げを目標。
F/A-18Fスーパーホーネット(24)、C-17 輸送機(4) Wedgetail早期警戒機(6) 60エイブラムス戦車の調達を決定。またネルソン国防大臣(当時)はRANがイージスシステム搭載の駆逐艦3隻を約80億豪ドルで調達することを発表(2014~2017年間に完了予定) (IISS, 2007)
さらにJSF(F-35)やプレデター無人偵察機の取得も追求。

日豪の安全保障関係

1.日豪関係の発展は経済→政治・文化交流→安全保障


'Since the 1957 Commerce Agreement senior officials in Tokyo and Canberra have
explored strategies to broaden the base to enhance the political and cultural dimension.'(Walton, 2008:75)

1980年代半ばよりAPECの枠組みで地域の問題で、また1998年には金融危機に陥ったアジア諸国を支援する中で協力の幅を拡大・深化。

1995年日豪パートナーシップ共同宣言(Joint Declaration on Australia–Japan Partnership)

1997年 ハワード・橋本政権で毎年の首脳会談開催をトップレベルの関係制度化の一環として合意。


・同時多発テロ以降の両国の協力加速(+米を交えた三ヶ国)

ex)小泉政権下で、国連下で東ティモールに自衛隊700名を派遣
2003年、米国を加えた三ヶ国戦略対話(trilateral security dialogue,TSD) を事務方レベルで開催。              

2005年2月以降、数百の豪軍兵がイラクAl-Muthanna地方でJSDFとともに活動。(Walton)

2007年 安倍・ハワード、日豪安全保障協力宣言(Japan-Australia Joint Declaration on Security Cooperation,JADSC)
(2006年、麻生・ダウナー ‘Building a Comprehensive Strategic Relationship’の共同声明)

→従来のアジア太平洋における‘hub and spokes’から‘webs’への試み。(Bisley,2008)
日豪2+2(外相・国防相)会談の定例化、閣僚級での日米豪TSDの開催。

政治的シンボリズム、運用レベルでの協力の限界(日本の国内政治的制約)、対中脅威認識の相違。

背景)
両首脳の親豪・親日的姿勢? ハワード首相の7度の訪日(Walton, 2010)
小泉・ハワード時代の対米協調
ブッシュ政権下での米豪a special relationshipのアップグレード

'Indeed Australia’s close ties to the United States and access to policymakers and
intelligence material in Washington, which to a large extent was a result of the Howard –
Bush relationship, arguably gave Australia new-found credibility with Japanese
policy-makers and the Japanese government' (Walton, p79)

豪州にとっては日豪は二国間の関係だけで捉えられない。
日米豪・日豪中・米豪中の三角形の一辺、bilateralismとmultilateralismのバランス(ASEAN地域フォーラム、東アジアサミット.. etc) (Donna, 2011)


参考文献)

片原「米豪同盟関係の動向と今後の課題」防衛研究所紀要第11 巻第3 号(2009 年3 月)

Bisley, Nick(2008) 'The Japan-Australia security declaration and the changing regional security setting:
wheels, webs and beyond?', Australian Journal of International Affairs, 62: 1, 38 — 52

Jain, Purnendra(2006) 'Japan-Australia security ties and the United States: the evolution of the trilateral
dialogue process and its challenges', Australian Journal of International Affairs, 60: 4, 521 — 535

IISS  'Australia's growing regional role', Strategic Comment Volume 13 Issue 06 August 2007

Walton, David(2008) 'Australia and Japan: Towards a New Security Partnership?', Japanese Studies, 28:
1, 73 — 86

Walton, David(2010) 'The Role of Prime Ministers in Australia-Japan Relations: Howard and Rudd',
The Round Table, 99: 409, 429 — 437

Weeks, Donna(2011) 'An East Asian security community: Japan, Australia and resources as 'security'',
Australian Journal of International Affairs, 65: 1, 61 — 80

White, Hugh(2009) 'Australia's Different Defence Policy', Survival, 51: 5, 173 — 184

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