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2/03/2011

そして「歴史」は動き出す

'We all are capitalists now!'

資本主義は勝利した、二つの生活様式を巡る戦争に。Niall Fergusonは「資本主義を最適な世界経済のシステム」と言った類のことをEmpireの中で書いているが(そしてそれを広めたのを大英帝国の業績の一つとしている)、この点に異論を挟む者はそうはいないだろう。クレムリンには旧ソ連KGB出身者が多数いるが彼らはもう共産主義者ではないし、中国「共産党」員は資本主義の腐敗した豚なのだ。資本主義は全球的に勝利を収めた、ウーゴ・チャベスや金正日のようなスターリニストの暴君が治める一部の忘れられがちな辺境を除けば。

2009年11月2日、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス。鉄のカーテン崩壊から20年を振り返るシンポジウムで、ベルベット革命の主役の一人だったVaclac Havelはその後の自らの過ちの一つを「エコノミストを信頼しすぎたこと(too much believe the economist)」と笑った。(彼はこの時、ニューヨークの国連でチャベスに「あなたは私の先生だ」と言われたエピソードを紹介してくれた。「どうやら私は悪い教師だったようだ」と聴衆を笑わせたのをよく覚えている) 彼のみならず、集った当時の東欧の指導者たちは口を揃えて自由な社会、市場経済、統合された欧州の一員であることを指して「夢は叶った」と言った。

資本主義は勝利した。一方でFrancis FukuyamaがThe End of Historty and the Last Manでぶち上げたような、自由民主主義は冷戦終結後から20年を経てもなお専制国家と独裁に対して完全なる勝利を収めてはいない。昨年12月19日の選挙直後に欧州最後の独裁者Alexander Lukashenkoは対立候補や批判者を投獄した(これに対して英独の外相はWSJに寄稿'Standing Up to Lukashenko’: http://on.wsj.com/g7CFjd EUとして独裁体制に厳しく臨むことを呼び掛けている)。またモスクワに民主主義があると信じるのは北朝鮮が地上の楽園だと信じるようなものだし、2000年代半ばのカラー革命もすっかり過去の話だ。アフリカ、アジア、そしてアラブではいくつもの国家で独裁・専制体制が健在であり、その権力基盤を維持してきた。

2011年は幕開けから北アフリカ、旧仏植民地の警察国家チュニジアで発生した「ジャスミン革命」から始まった民衆の大々的な独裁政権に対する抗議の津波がエジプトを、そしてヨルダン、イエメン、シリアをと相次いで揺さぶっている。既に忘れられてしまいそうだが、住民投票で南スーダンが独立してアフリカ54番目の国家が誕生する運びになったのもこの1月の出来事のなのだ。

我々は今「歴史」が再び動き出したのを目撃しているのだろう。その先に待ち受けているのはデモクラシーの理想だけではない、現実も。デモクラシーに約束された勝利はない。デモクラシーは一日にして為らず。ネオコンのように(1)、もっともネオコンだけがデモクラシーを抱擁できる所有者ではないのだが(2)、民主主義が独裁を倒してハッピーエンドと素朴な夢を見るわけにはいかない。


(1)Egypt protests show George W. Bush was right about freedom in the Arab world 
(2)‘Right all along’? - neo-conservatism and the Middle East demonstrations 

ここに「歴史」の再開を宣言する。そして「歴史の終わり」に向かっての戦いを眺めていく。

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